【2023年度産/新米】敬農吉さんの自然栽培米「亀の尾」

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生産者:敬農吉
生産地:熊本県人吉市
生産年:令和5年度(2023年度)
品種:亀の尾
精米日(籾摺り日):入荷後に記載
精米度合い:玄米
(*画像は2019年のものです)

今年も新米入荷します。2020年の豪雨災害を免れた貴重な種籾から育てて4年目。災害を経て力強く、更に美味しいお米になりました。

2020年7月の豪雨災害で壊滅的な被害を受けた熊本県人吉市。
敬農吉さんでも家屋と農作業場の浸水、田んぼと畑にも氾濫した球磨川から濁流が流れ込みました。
2020年収穫分の作物は米も野菜も全滅だと思われましたが、奇跡的に生き残ったほんの一部の田畑からお米と里芋が収穫できました。

敬農吉さんで栽培しているお米は「にこまる」と「亀の尾」です。
そのうち、「亀の尾」はぎりぎり種籾にできるくらいの量しか収穫できず、2021年はその貴重な種籾から育てられました。
2022年を経て、今年2023年も順調に収穫まで辿り着きました。

もともと、敬農吉さんでは農薬も肥料も使わずに、太陽と土と水の恵みを受けて、植物自身の生命力で育つ力強い「自然栽培米」です。
人吉は周囲を山に囲まれた盆地の特徴である寒暖差ある気候と、清流球磨川が時間をかけてつくった堆積土壌、そして清らかで豊かな水が美味しいお米を育てます。

収穫した後は、竿掛けして天日干しされます。
竿に逆さにして干すことで、稲穂にさらに養分が集まります。
「天日干し」の言葉から、お日様が重要な印象を受けますが、実は「風」が大切です。
11月から12月にかけて吹く乾いた冷たい風が、お米から余分な水分を徐々に取り除いてくれるのです。

機械乾燥では、効率を優先するので、どうしても熱を与えながらの乾燥になります。
ドライヤーで髪を乾かすことを想像すると分かりやすいと思います。
冷風だけなら、ダメージは少ないけれど乾きはゆっくり。
熱風で乾かす方が早いけど、大なり小なりダメージはありますよね。
とはいえ、髪でもそうであるように、お米でもダメージの許容範囲があるので、機械乾燥が一概にダメだということではありません。
天候が思うようにいかない場合は、天日干しでは乾燥ムラができてしまうこともあります。

ただ、自然のリズムで天日干し乾燥されたお米には、噛み締めるほどに広がる、独特の美味しさがあるように私は感じます。

是非、ご賞味ください!

●敬農吉さんの自然栽培米「にこまる」はこちら→ Click

農薬を使わない栽培:ジャンボタニシによる除草
昭和50年頃に食用として日本に輸入された「ジャンボタニシ(正しくはスクミリンゴガイ/日本に昔からいるタニシとは別種)」は、味が良くないことから採算が取れず、養殖場が中止、放棄されたために西日本で野生化し、広く生息することになりました。
ジャンボタニシは雑食で繁殖力旺盛です。
柔らかい葉っぱを好んで食べるので、浮き草、アゼナ、せりなどの若い葉っぱを食べますが、それらがなくなると稲の柔らかい部分やレンコンの浮き葉を食べるので田んぼやレンコン畑での被害が深刻化しています。
そのジャンボタニシが、西さんの田んぼにもたくさん生息しています。
うかうかしていると田植えしたばかりの柔らかい稲を全部食べられてしまいますが、西さんは田んぼの水の高さを調整して、いつも稲の柔らかい部分が水から出た状態に保っておくことで、水面から出られないジャンボタニシに食べられないようにしています。
こうすることで、今度は、食べられる場所にある雑草をジャンボタニシが食べてくれる除草効果が生まれました。
西さんはこう言います。
「有害動物と言われているけど、それは人間側の都合。時間と手間、知恵を使えば共存できるんですよ。」

「亀の尾」について
明治30年(1897年)に山形県庄内で、在来種が自然の突然変異で生まれた品種です。
漫画「夏子の酒」で登場する「幻の米」のモデルになったお米といえば、知っている方もいらっしゃるかもしれません。(物語のなかではお米の名前は「龍錦」でした。)
この漫画で、酒米として紹介されたこともあって食用のイメージがあまりありませんが、もともとは食味が非常に良いことから「日本3大優良品種」とされたお米です。
コシヒカリやササニシキ、あきたこまちといった今のブランド米は、そのほとんどは「亀の尾」がルーツになっています。
味と米質が良いと盛んに栽培されていましたが、大正7年以降に無機質肥料(石炭窒素や硫黄など)の導入が推奨され「多肥料栽培時代」になると、亀の尾の特徴である長稈(稲の背丈が高いこと)は耐肥性に劣るため倒れやすく栽培されなくなってしまいました。
そして、品種改良によってでてきた育てやすい米に押され、市場から姿を消すことになります。
それからは一部の農家さんによって、細々と栽培されてきました。
在来種に興味があった敬農吉の西さんは、鹿児島で参加した「種の交換会」で亀の尾の種籾に偶然出会い、栽培することになりました。

肥料を与えない自然栽培に向く品種ではありますが、秋に台風の通り道になることが多い南九州向きとは言えません。
背丈が高いので倒れやすく、とても栽培が難しいそうです。
こまめに田んぼに様子を見にいき、倒れそうになったら起こすの繰り返しで、毎年、なんとか収穫までたどり着きます。

食感は固めで、噛めば噛むほど味がでる奥深い美味しさがあります。
コシヒカリやあきたこまち等の柔らかくて甘い今のお米に慣れていると、最初は少し戸惑うかもしれません。
だけど、亀の尾をしっかりと咀嚼しながら食べていると、日本人が昔から食べてきた、本来のお米の美味しさのようなものをしみじみと感じます。

お米の包装方法が、容量によって異なります。画像もご参照ください。
1.5kg:エイジレス(脱酸素剤)入り真空パック 2,700円(税込)
5kg:米袋(真空なし)7,700円(税込)
10kg:「5kg入りの米袋」が2つ届きます。14,700円(税込)

お米の保存について
当店で扱うお米は、栽培から収穫後のお米の保存場所、米袋など全ての段階で、化学薬品を使用した防虫処理を施しません。
このため、気温20度以上の場所で、そのままの状態で保存した場合に虫の発生は免れません。
保存は15度以下の冷暗所でお願いします。
気温が15度以上の時期・地域では、必ず冷蔵庫で保存してください。
尚、外気温が低くても、機密性の高い都市部のマンションの室内では20度以上が続きますと虫が発生する可能性がありますので、冷蔵庫での保存をお願いします。
*1.5kgの真空パックは、直射日光を避けて、30度以下で保存してください。

<配送方法>
●気温20度以下の時期
・宅急便(普通便)
・1.5kg入り真空パックは気温30度まで常温便で配送可能
・レターパックプラス:全国一律 520円(1.5kg 1個まで)
(注意)クリックポスト、レターパックプラスでは、商品パッケージに多少のダメージが生じる可能性があります。ご了承のうえでお申し込みください。

●気温20度以上の時期と地域
・宅急便(クール便)

<敬農吉>
熊本県人吉市で西弘敬さんが営む農園。9年目(2023年現在)。
実家は兼業農家ですが、無農薬で農業を始めるにあたり意見の相違があり、耕作放棄地を借りて独立して新規就農しました。
畑では唐辛子をメインに少しのお野菜、田んぼでは2種類のお米「亀の尾」「にこまる」を、農薬も肥料も使わない自然栽培で育てています。
「たくさんの方々に安心して、安全な食べ物を食べていただきたいと思い、寒暖差が激しく九州の大自然に囲まれている人吉盆地で日々自然から学びながら栽培しています」
素朴で力強い味わいの作物を届けてくださいます。
2020年7月の熊本豪雨災害で、球磨川の氾濫で人吉市は壊滅的なダメージを受け、西さんの自宅も1階部分、農作業場、田畑は全て浸水、土砂に埋もれて被災しました。
2021年春に新しく農業法人を立ち上げて、高齢化と水害で苦しむ地域の農業の復興を目指しています。
販売価格
2,700円(税200円)
購入数
1.5kg(真空パック)5kg(米袋)10kg(5kg入の米袋を2個)